一億円の坂道

※こちらは2023.3.18の伝習所まつりで皆さんに作っていただいた作品です ハラハラハラ…石畳の坂道の上にすべるように落ちる紙幣たち。一体誰が落としたのか。誰が、何のために。よく見ると、その紙幣に描かれた顔は…夏目漱石...

鶴と石畳

※こちらは2023.3.18の伝習所まつりで皆さんに作っていただいた作品です  翼をひろげてたんたたん、ばさばさ翼を動かして軽やかなステップをきざんでゆく。石の地面をかけぬけて、いきおいつけて、ぐんと大きく翼を張った。上...

消える女神大橋

※こちらは2023.3.18の伝習所まつりで皆さんに作っていただいた作品です    いつも渡っている橋がなくなっていた。昨日、家に帰る時まではあったはずなのに。何回見ても、橋はみつからない。 「あれれ、おかしい。」 と、...

電子鳩

※こちらは2023.3.18の伝習所まつりで皆さんに作っていただいた作品です  今日は待ちに待った日曜日。柔らかな白色の鳩が届けものをしてくれるんだ。私が昔友人と送りあった手紙とは違うけれど、言葉の温かみは変わらないなあ...

《人間》

 終点の中央橋から徒歩で十分。路地裏という路地裏を抜け、道かどうかも怪しい道を歩いてゆくと、暗がりの中にポツンと灯りが見えてくる。 午後九時の『路地美術館』。スマートフォンのライトを頼りに扉の前まで行くと、自動で開き戸が...

勇魚

 海沿いを歩いていると、不意に大きな影が海面に映し出された。 くおー、くおー、という声とも音とも判らぬものが響き、突然噴水が湧き上がる。映像や本でだけの関わりだった「それ」を間近にした私は、気が付くと「おかあさーん!」と...

ABC通詞

 不法入国だとかで、遠い蝦夷地からひとりの青年が送還されてきた。 ラナルドという名前らしい。が、それ以上は分からない。 俺は俺で、突然幕府の役人から呼び出されて、説明の無いまま聖福寺に連行されていた。表を通り、大悲庵へ向...