一億円の坂道

※こちらは2023.3.18の伝習所まつりで皆さんに作っていただいた作品です

ハラハラハラ…石畳の坂道の上にすべるように落ちる紙幣たち。一体誰が落としたのか。誰が、何のために。よく見ると、その紙幣に描かれた顔は…夏目漱石でも諭吉でもなく一葉でもない…。

「ウワアアアアア!」

 その時、自転車が坂の頂上から猛スピードでこちらへ向かってきたのだ!

「ドシーーーーン!!」

自転車と勢いよくぶつかってしまった!!自転車の人とは初対面の感じがしない…。

「君の名は?」

何か…教科書、いや、地域の公民館で見た。そんな感じがする。よく見ると服も白か黒しかないし…あ!この人ってもしかして…。

「坂本龍馬ああああっ!」

「おお!わしの事、知っとるんですか?」

「いいや、知ってるも何もあの坂本龍馬じゃあないですか!」

そう、その人は…あの有名な坂本龍馬。そして坂本龍馬が口を開く。

「この紙幣はいったい?」

「わたしにもよく…。」

坂本龍馬はふうん、と言って、興味深げに散った紙幣を拾い上げた。それを見た途端、

「なんじゃあこりゃア!わしの顔じゃなかか!」と、げらげら笑い始めた。

いや、それよりもなぜ坂本龍馬が自転車に乗って坂の上から走ってきたのかが謎だが私の中で坂本龍馬は新しいもの好きと勝手に結論づけて済ませた。ただ笑い続ける龍馬は急ぐので、と再び自転車に乗って走り去った。

「おーい、坂本さん!そろそろ過去に帰る時間ですよ!」

後ろから、スーツ姿の男が息を切らせて走ってきた。

「はあ…あ、こんな所に落としちゃって…。」男は龍馬の顔をした紙幣を拾い上げる。

こんにちは、坂本さん。いつイベント開催いくつかあるんですか?教えてください。この3年間厳しいコロナ禍ばかり続いていますけど、出来れば、大盛り上がりのやつが良いと思うぜよ。

夫の転勤で長崎に移り住んだら思いのほか居心地が良くて、早10年超え。結果、夫は今離れた地で単身赴任となってしまいました。

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