消える女神大橋

※こちらは2023.3.18の伝習所まつりで皆さんに作っていただいた作品です   

いつも渡っている橋がなくなっていた。昨日、家に帰る時まではあったはずなのに。何回見ても、橋はみつからない。

「あれれ、おかしい。」

と、私が昨日帰った時には何か異変を感じた事はなかったかと思い出してみた。そういえば、昨日帰る時にあの人とすれ違ったな。もしかして、あの人が…。

 あの人というのは女神大橋の下に住んでいる海坊主の大橋さんだ。平均の男性より数倍背が高いけど、ものすごくヒョロヒョロで…。どう見てどう考えても大橋さんじゃ女神大橋を持ち上げられない。一体どうやって…。てんごくに消えた。

数日後、私は女神大橋が消えたのかを考えてみた。先日みかけた大橋さんが事件に巻き込まれたに違いない。そこでネットで「女神大橋 事件」と検索した。わたしが止めてみせる。二度と天国へ消えないように。検索したが何も出てこない。しかたがないので知り合いの占い師に聞いてみた。占い師は水晶玉を覗き込みながら、

「見えました!こ、これは…」

「あなた、この世界の人じゃないですね?」

驚いた。知り合いと思った占い師は、どうやら違う次元のその人で、曰く私自身がパラレルワールドに迷い込んでしまったようである。どうやったら元の世界に戻れるのだろうか。この世界に女神大橋はない。その代わりといっては何だが、島原半島との間に橋がかかっていた。これはこれで便利だが、女神大橋がないとさびしい。海坊主の大橋さんのことも気になる。そう思っていると目の前にキラキラとまぶしい七色の光が差し込んだ。あまりにまぶしくて目があけられない。何だろう?七色の光は消えて、ひとりの女性の姿が見えた。背は高く、手足も長い、軽くウェーブのかかった金色の髪。あ!そうか、わかった。

「う〜ん、困ったな…。『気分は上々』に行けないじゃない。」金髪の女性は長崎で有名なコスプレイヤーだった。ここは二・五次元の世界…!完全に二次元じゃないから橋は元に戻らないままだった。

夫の転勤で長崎に移り住んだら思いのほか居心地が良くて、早10年超え。結果、夫は今離れた地で単身赴任となってしまいました。

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