坂本龍馬など海援隊が設立した日本で初めての商社と言われる亀山社中では、貿易の仲介や物資の運搬などで様々なモノが扱われていた。
その一つが【シット】商品である。海援隊のメンバーは全国各地から長崎にやってきた有能な若者の情報を聞きつけると、直ちにその場に駆け付け、色んな話を聞いて【シット】を買い集めてくるのである。
有能な学生や若者たちが長崎に集まれば集まるほど、みんなからの【シット】の株価はうなぎ登り。会社は【シット】商品のおかげでボーナスも倍増。
【シット】の原料になるのは若者たちの明るさ、情熱、知識、才能、美貌、技術などなどキラキラとした前向きな輝き。海外からやってくる西洋の知識や技術を求めて長崎にやってくる人々の憧れは上質な【シット】に生まれ変わり、長崎の街を明るく照らすエネルギーとしてとても人気を博した。
【シット】エネルギーはコンパクトで持ち運びが簡単で長持ちする上、二酸化炭素が出ないどころか環境をキレイにする成分も入っているという優れもの。使えば使うほど、環境も気分も明るくなる奇跡のエネルギーと謳われた。
毎日のようにパーティーが行われていた出島でも重宝され、グラバー邸の倉庫にもかなりの【シット】が保管されていたという噂である。
だがしかし、ごくたまに製造過程で思わぬ不良品が出来上がるらしい。【シット】は見た目には分からないが、燃やしてみると一目瞭然!嫉妬が重すぎると全く燃えず、嫉妬が暗すぎると爆発の危険性もあるようです。目に見えない嫉妬だけに、取り扱いには要注意だ。
Photo by Photo IRIS (※編集部にてトリミングを行っています)